高速度赤外カメラを用いたアーク溶接の可視化最前線

大阪大学接合科学研究所 田中研究室との合同撮影により得られた、弊社ハイエンド赤外高速度カメラを用いた溶接可視化結果を紹介いたします。

マランゴニ対流やスラグ流れの可視化
ガスメタルアーク溶接

溶接中の様々な現象理解向上に有益なツールです。例えば溶融金属とは赤外線放射率が異なるスラグを、可視光カメラを使用するよりも高コントラストに可視化できています。
可視化されたスラグをトラッキングすることで、スラグの輸送過程および堆積過程の評価が可能になると考えられます。
トレーサ粒子を使った表面流れの観察だけではなく、各時刻における温度分布画像から溶融池表面の温度勾配を求め、マランゴニ効果による力の分布を可視化するなど、より踏み込んだ溶接品質評価へ繋げることができます。

固液界面の可視化、陰極点の可視化
アルミニウムの交流ティグ溶接

可視カメラで見ると、深い青色部分は酸化膜が存在せず綺麗に溶けた金属になっており、その外側は酸化膜が覆っていることがわかります。
なお、その酸化膜が赤く高温に見えますが、放射率の差異、および放出される赤外線の影響によるものです。
これらの結果から、溶融池の温度分布計測による表面張力の解析、あるいは固液界面の決定などの利用方法が可能と考えられます。

低融点材料の溶融プロセスの可視化
銅のティグ溶接

弊社のハイエンド赤外線高速度カメラを用いることで、通常では計測困難な、低温で赤外放射の少ない材料の表面温度および溶融池温度分布が計測可能です。
また、赤外カメラとして最高性能の秒間数千コマ撮影により、母材上での陰極点発生といった超高速現象を捉えることも可能です。

シールドガス流れの可視化
溶接ノズルから噴射される炭酸ガス

光学フィルタを搭載した独自の赤外線高速度カメラで撮るだけで、シュリーレン光学系のような専用光学機器の導入やアライメント調整を必要とせず、シールドガス(炭酸ガス)の流れを簡単に可視化できます。
また、シンプルな観察系が実際の溶接シーンに近い“その場観察”を実現します。

この撮影には弊社製品 X6981 SLS を使用しました。
https://www.photonic-lattice.com/products/x6901sc-sls/

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